漆へのこだわり

庄右エ門の輪島塗において最重要視していることは漆へのこだわりです。
現在使用している漆は昭和平成に生産された岩手県二戸の漆です。
「米を買う金が無くても漆だけは買え」との先代の哲学を忠実に守っています。

漆とはウルシノキから採取した樹液です。
丈夫で艶やかな質感をもつ塗料であり強力な接着剤にもなります。東アジアの国々に分布しています。

日本では9,000年以上も前から装身具、食器、調度品、建築物などさまざまなものに利用されてきました。

漆の語源は「うるわし(麗し)」「うるむ(潤む)」ともいわれ、みずみずしい艶を表しています。
固まると酸やアルカリにも強く、数千年の時を超えるほどの耐久性を有しています。縄文時代の遺跡から出土した漆製品でも、木地が朽ち果てたにもかかわらず、漆そのものは色鮮やかに保たれている事例が確認されています。

一方で、漆は大変デリケートな素材です。採った時間や天候、場所、採り方によって性質が微妙に変わってきます。一本の木から採れる漆の量は150gほどで、大変貴重な素材です。