8、工場の前の工場?
長い長い廊下を抜け、やっと工場(こうば)の入り口にたどり着くと女将さんが突然、ここがもう一つの私の仕事場なんですよ。
とニコニコ笑ってる。周りを見渡しても樽や桶しか見あたらず、何を言っているのか頭をかしげてると「ここは私の米糊工場なんですよ」と。
糊なんて何でご自身で作る必要があるんですか?と聞けば、輪島塗の下地行程で漆と調合して使う米糊を女将さんが手作りしているとの事でした。
市販していないんですか?との問いには「市販と言うか糊屋さんもあるのですが、品質的に自分自身で作らないと納得できないので私が作っています」との返事が返ってきた。
徹底した品質主義・・・ここにも大崎庄右ェ門の哲学が貫かれているのだった。